物語「Key Players」

物語[Key Players]3

塔の入口・出会い

塔の入口にはまばらだが人がいた。

人がいたといっても、キャラクターで種族はばらばらだ。

獣人やら小人やらエルフやら、ファンタジーらしいキャラクター達だ。

特に知り合いはいないかなと判断し、塔の中へ入ってみようと扉の方へと歩んでいく。

 

塔の扉には、真ん中に「Key」と描かれた丸いレリーフの装飾がある。

扉自体にも綺麗な文様が描かれ、時間を超えて来た塔らしい佇まいを連想させる。

その目の前に、小さな小人の女性キャラクターが塔の上を眺めて立っていた。

一人のようだ。

先端に丸い動力源を持つワンドを持っている所をみるとプリーストのようだ。

プリーストは非力なので一人ではヴィランを退治できない。

そんな理由からソロプレイヤーには不人気な職業だ。

選択する人は、すでにどこかしらのグループに所属していて、前もって担当をもらっている人がプリーストを選択することが多い。

特に今回は街からのスタートなので、‘PT全員が足並みを揃えてスタートできる。

 

塔の周りにいるプレイヤーは、ほとんどがPTを組んでいるようだ。

「そこをどきな。臆病者は後から入場と、相場が決まってるんだぜ。」

と痩身の二人組のエルフが、プリーストに背後から声をかける。

「先に隅々まで探索するから、安全になったら来るんだな。お宝は先にいただくけどな。」

とエルフの男が言葉を続ける。もう片割れは女のエルフで、

「そうですわね。私たちが塔のヴィランを退治しておきますので、勇希のない方は後ろ方みておくことね。」

と、プレイヤーの性格もエルフっぽいのか、やや高飛車な言い方だ。

この二人は身内プレイヤーなのだろう。キャラクターの外観や顔がほぼ同じで双子のようだ。

種族はエルフで痩身、丹精な顔に中性顔、それぞれが腰にもつ獲物だけに違いがあった。

小剣とレイピアをそれぞれ持っている。

ゲーム序盤で武器を持っているのだから、何かしらでgoldを貯めたのだろう。

ゲームの玄人かもしれない。

 

小人のプリーストは塔の上を見上げていたポカンとした顔からエルフの方へと振り返ると、怯えたような顔をして横にどいた。

「じゃ、お先」

「ばあーい」

エルフは扉をゴゴゴゴと開け、中へと進んでいく。

どういう仕組みかわからないが、エルフが入っていったあと、扉はおなじくゴゴゴゴと音を立て閉まっていく。

あたりに人の会話だけを残し、静けさが戻っていく。

小人はぽかんとした表情で相変わらずワンドを握りしめていた。

と、またゴゴゴゴと音を立て扉が開いていく。

今度は足を引きずる一人の人間が塔から出て来た。

「おい、あれ見ろよ。」

と塔の入口近辺がざわつく。

このゲームではプレイヤーがプレイヤーを傷つけることはできない。

つまり人間はヴィランにやられたのだ。

いや、罠という可能性もあるが。

取り巻きの一人が声をかける。

「おい、大丈夫か。何があったんだ」

声をかけられた人間は、

「ライバルに応える義理はないね」

とつっけんどんに答えた。

想像外の言葉を返された取り巻きは、腹が立ったようだ。

「っは。一人で入るからそんなことになるんだ。一人で攻略なんて自信過剰なんだよ。」

むかつきを言葉で返したが、人間はというと、ハイハイと言った感じで手をハタハタ振り、塔から離れていく。

「なんだあいつ。ルーキーかな。」

と言う取り巻きも居た。

みんなの視線が人間から塔へと戻る中、小人は人間の方を目で追っていた。

テコテコテコっと人間を追いかけ呼び止めると、嫌がる人間を無視してワンドを振った。

するとワンドの先端から透明な緑色の霧を発生させ、それは人間の傷ついた足へと収束していった。

人間は足を引きずらなくても歩けるようになっていた。

プリーストの癒しの呪文だ。

癒しの呪文がプリーストが必ず持つ呪文である。

しかし、完全に折れていただろう足を完治させるには、ステータスの精神が高くないと出来ない芸当だ。

人間は、頼んだ覚えはない、と言って街へと向かう。

それを見たリマは頭にきた。

「ちょっと、その言い草はないんじゃない。癒しの呪文だってただじゃないんだ」

と人間へと言葉を放ってやった。

人間は振り向きざまに、

「あ?うるせーよ。」

と眼光を鋭くしたと思うと、またすぐに街へと歩みを進める。

リマはしょうがないやつだなと思いつつ、小人に近寄り、ついでに小人のステータスを確認する。

ステータスは誰もが確認できる。

名前や職業、HPやMP、イイネ数などだ。

小人の名前は優羽。

ホビットの女性キャラクターのようだ。

優羽は目に涙をうっすら浮かべていた。

そんな優羽にリマは声を掛ける。

「あんた優しいねー。でも皆競争相手なんだし、優しいだけじゃ生きていけないよー。」

そんな言葉に、優羽は、

「生きていかなくてもいいもん」

と溜めた涙を一層大きくした。

その一言がリマには不可解で引っかかったが、詮索はしないでおいた。

強がりなのか、泣き虫なのかわからないが、見ず知れずの輩の怪我を治すくらいだ。

良い奴に違いない、そう思った。

「私はリマ。あなたは優羽ね。プリーストみたいだし、私も戦士じゃなくて強くはないけど、あてがなければ一緒に塔に行ってみない?」

PTの誘いを優羽に投げる。向こうも私も初対面だが、入口で塔を見上げていたのだ、途方にくれていたのかもしれない。

回復ができるプリーストがいるのはリマも心強く、優羽にとってもヴィランを倒せる前衛は欲しいところだろう。

「一緒に行っていいの、ありがとう、、」

っぐす、っぐす、と涙をこらえながら言葉を返す。

「一人で入れないのに皆はもうPT組んでて、それだけで心細かったんだ。プリーストならすぐPTに入れると思ってた。」

そう、プリーストはPTの必須職。

しかし、一人居れば良い面もあり、リアルでグループを組んでいるPTには二人のプリーストは欲しい人材ではない。

ソロプレイヤーでプリーストがいない理由がここにある。

「まぁ、PT組みやすいのは確かなんだけどね。あなたもソロプレイヤーなんでしょ?私もそうなんだ。」

と安心させるように言葉を選ぶ。

「うん、一人で始めた。ん~もしかして、リマって女?」

リマというプレイヤー名と、私という一人称、言葉の節を不思議に思ったのか、優羽は気付いたようだ。

「そう、わかっちゃう?」

リマはちょっと恥ずかしげに答えた。

女だてらに盗賊の男キャラを操る事に若干の恥ずかしさは感じている。

まぁ、それも慣れてはいるが。

「言葉遣いが柔らかいからね。そうなのかな~って思ったんだ。実は僕も男で、お医者様に憧れてるからプリーストを選んだの。女性キャラを使ってるのは、ナースってすごいなと思ってるから。」

と、後半のくだりは口をごもごもさせる優羽。

やはり悪い奴ではなさそうだ。

リマは優羽にそんな印象を再確認した。

リマは、

「それじゃPT成立ね。今PT飛ばすから、承認してくれる?」

「わかったよ。」

リマは視界の隅を操作し、優羽とPTを組む。

これまた視界の端の方に優羽のHPとMPのバーが表示される。

これでPTを組めた。

リマはこれからを質問する。

「まずは金策が必要だと思うんだけど、優羽もお金ないよね?」

女の言葉遣いにならないように気をつけて質問するリマ。

「持ってないしお金の稼ぎ方も分からないよ」

と返事をする優羽。

二人に必要なのは、仲間もそうだが装備やアイテムを整えるお金だ。

二人の所持金は合わせて0gold、宿屋にも泊まれない。

「私には盗むと鑑定があるから、まず塔の序盤でそれを試してみたいんだけど、塔に行くでいいよね?前衛もいないから、気を付けて進みましょう。ま、多少の傷ならお医者様もいるわけだし、ね。」

と言うと優羽は嬉しそうに、

「任せてよ、精神にごく振りしといたから、MPも結構高いんだ。」

やはり精神を上げていたか。

MPは魔法を唱える時に使う精神力のことで、精神と知識を上げることでMP値も上がっていく。

キャラクターエディットの時のステ振りには他にも秘密があるのだが、この時はまだ知る由がなかった。

MP値が高いということは、その分魔法の使用限度回数も多い。

MPの回復は、自然でもわずかに回復していくが、宿屋に泊まることでも回復する。マナポーションでも回復できるが、レア度が高く希少品だ。

主に、宿屋に泊まり回復することになるだろう。

「プリーストのスキルは何を選んだの?」

これは気になる。

選択したスキル次第で戦法も変わってくるからだ。

「解呪印と与呪印」

「え、ほんと!?これは相性良いね。色々試せそう。」

「そうなの?呪いを解くって医者でもできないから選んでみたんだけど」

「解呪印って一般的な呪いを解くのと違うよ」

そう、解呪印は一般的な「呪い」を解く、という意味ではない。

「え、そうなの?」

と知らない優羽に説明しておく。

「そう、印とは武具を強化するときに使うもので、強化するときは与呪印、それを解除するのが解呪印なの。それぞれ印を使うにはアイテムが必要なんだけど、塔でしか手に入らないんだ。盗むでも入手可能らしいから盗む持ちシーフと印使いプリーストは相性が良いのかもしれない。」

印は武具に通常にはない付与効果を与えるためのもの。

ノーマル武具では普通に育てても成しえない不思議な力を得るために付与される。

一部最初から印が施された武具もあるらしいが、それはかなりレアなものだ。

今回優羽と組めたのは運がいいかもしれない。

リマはワクワクしてきた。

優羽の先ほどの涙は引っ込んだが、

「よかったぁ…僕でも役に立てるんだね」

今度は違う意味で涙を溜めそうだ。

「でも、女性ホビットなのにボクって何か変よ」

と冷静に突っ込んでおいた。

「リマもたまにおかまみたいで気持ち悪いよ」

と優羽からも返ってきた。

 

場所の塔の最序盤、扉を開け一階へと進む。

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